画材コスメ~コスメの原型であり最終形~からのつづきです。
真珠のアイカラー のもうひとつの特徴は、真珠粉(キラキラしたパールパウダーではなく、本物の真珠を削った粉)が配合されているという点です。
今まで、真珠粉配合!真珠粉配合!と謳ってきましたが、今ひとつピンときていない方も多いだろうなと思い、真珠粉がどんなものなのか、どういった効能があるのか、なぜこんなにお薦めするのか、じっくり語りたいと思います。
真珠粉は、真珠の真珠層を削って微粒子にしたもの。台湾・香港、中国大陸では「珍珠粉」と呼ばれ、美容成分として広く認知されているものです。 珍珠粉は、古来より漢方薬として知られ、明の時代に医師・李時珍によって書かれた本草綱目(薬草全書)には、内服に加え、外用の効果として、以下のような記載があります。
「肌に潤いを与え(顔に塗れば潤澤ならしめ)」
「顔色をよくする(顔色を好くする)」
「シミを消す(面䵟(皯)を除く)」
他にも、精神安定や解毒作用など色々な効能が示されており、非常に興味深いです。
真珠に関する記載はこのページも含め7ページありました。
図書館にて、本草綱目(原文は中文)を日本語に訳して1978年に編纂された『國譯本草綱目』(全15巻)を確認してまいりました。
江戸時代になると、日本でも真珠が薬用・美容用として用いられていたようです。
「日本でも江戸時代に本草学が盛んになり、それにともなって薬用真珠の概念も普及していった」「中国の真珠は淡水真珠だったが、日本では宝石としても使えるアコヤのケシ真珠がすりつぶされ、服用されることになった。」(『真珠の世界史』山田篤美著)
中国語の原文も確認することができました。
「顔に塗れば肌に潤いを与え顔色をよくする(塗面令人潤澤好顔色)」
「シミを消す(除面䵟)」
古代エジプトのクレオパトラや、中国の楊貴妃、西太后も、真珠粉の内服や外用によってその美貌を維持していたという話は有名です。
真珠の主成分は、「炭酸カルシウム」「アミノ酸であるコンキオリン」ですが、現在では成分分析の結果、このコンキオリンアミノ酸こそが、まさに「真珠の独特の上品な光沢」を生み出す成分であり、潤いを生み出すコラーゲンと似た作用を持っていることが注目され、現在、化粧品にも配合されるようになりました。
15年以上前になるのですが、わたし自身、上海に住んでいたことがあり、上海では、真珠粉が薬局などで販売されていて(リーズナブルなものから高級なものまで。純度の違いと思われます)、友人のすすめで購入し実際に使ってみて、その効果に驚嘆したというのが、私と真珠粉との出会いでした。しかし日本ではなかなか手に入らないので、帰国してからは残念ながら使うのをやめてしまっていました。そしてコスメの手作りを始めてしばらく経ってから、今度は原料としての真珠粉を日本で見つけることができたのです。
そもそも真珠というのは、日本には非常に古くからあるもので、古くは『魏志倭人伝』にまでさかのぼり、その時すでに真珠が日本の特産品であり、朝貢品としても用いられていたとの記述があります。
真珠の歴史を語ると非常に長くなるので、ここでは語りませんが、これ、非常にロマンです。大航海時代、真珠というオリエントの富に憧れるヨーロッパ人たちが、真珠の産地をこぞって目指し始めます。もっと文才があれば、皆様を飽きさせることなく真珠と世界史のロマンを語れるのに・・・!
話は戻りますが、真珠粉の美容的効能。実はカラフルオーガニックとして独自に発見したことがひとつあります。それは【ミネラル色材の発色を明るくする】というものです。いわゆる「発色が綺麗」ということです。これは、本草綱目に記してある「顔色をよくする」という効能の一部分なのかもしれませんが、「ミネラル色材と真珠粉」という組合わせで世に出したのは、私が知る限り、カラフルオーガニックがはじめてです。
真珠粉を配合した化粧品はいくつか出ていますが、残念なのは真珠以外の成分。自然界の営みによって奇跡的に育まれる真珠という宝石の美肌効果を、人工的な化学合成成分と混ぜてしまったら、もったいなさすぎる!真珠の美肌効果を相殺してしまうか、悪ければダメージの方が大きくなってしまう可能性も。お肌へのダメージや副作用なく、真珠の美肌効果を享受するには、真珠だけでなく、その他の成分すべてに配慮する必要があります。それで誕生したのが、カラフルオーガニックのアイテムなのです。
話題の新薬や新成分が好きな現代人ですが、数年後、副作用のため使用禁止になることも少なくありません。その点、世界的には古代エジプトから、国内でも江戸時代から美肌成分としての実績、安全性の実績がある、そんな美しくも優しい真珠の効能を、ぜひ堪能してみてはいかがでしょう。