色を愛する

本質派コスメ カラフルオーガニック代表のつぶやき

同じだけど同じではない場所へ①

面談の結果は翌々日に発送します、と言われました。でも翌日の朝早くに、一本の電話がかかってきました。前日面談を受けた学校の先生からでした。

 
「Mさんはとても素直でオープンな子なので、私としてはぜひ受け入れたい。
 でもひとつ相談があって、これはMさんにとって、とても難しいことだとは思うのですが、バレエを1年間、お休みすることを考えてもらえませんか?」

 

 

猛暑だった夏も終わり、子役として出演したバレエ公演も終わった9月。

7月に心がすり減って疲弊していた娘も、その頃にはすっかり心身の元気を取り戻していました。その娘が言ったのは「やっぱりどこか学校に行きたい」。

 

前々から目星をつけていた学校があり、タイミングよく開催されていた説明会や体験授業に出向き、その学校独自の教育体系、教育内容に非常に共感して、夫、本人との相談も重ねた結果、編入を希望することを決めました。

 

しかし娘の学年の募集はなく、編入希望の旨を何度かお伝えしてアピールした結果、待つこと2ヶ月。ついに1枠のみ募集を出してくださいました。そこから編入のための願書提出し、面談まで3ヶ月・・・編入後の生活を妄想しながら、まだかまだかと心待ちにしながら、日々が過ぎていきました。

 

面談は子どもの面談、これは面談というより、いくつかの遊びをしながら、その子の様子を見るというものでした。作文と算数もありました。続いて保護者の面談があり、その日はそのまま帰宅しました。

 

「Mさんはとても素直でオープンな子なので、私としてはぜひ受け入れたい。
 でもひとつ相談があって、これはMさんにとって、とても難しいことだとは思うのですが、バレエを1年間、お休みすることを考えてもらえませんか?」

 

その電話は、これからバレエの通し稽古に行くための準備をしているところにかかってきました。わたしが電話に出て、家族のいない静かな部屋に移動して話を聞きました。
4歳からバレエを続けていることで、M嬢の身体にすでに「バレエの型」が入りつつある。このことが、学校の独自のカリキュラムである「身体表現の芸術」を学んでいくのに、影響がでることが懸念される。バレエを1年間お休みしてみることはできないか?という話でした。

 

実は、この学校では、音や音楽、身体表現について、独自の考えとそれに基づくメソッドを持っており、そのためもあって、ピアノやバレエの早期教育は原則禁止となっており、小学4年生からは解禁、しかし学校の学びに影響の出ない範囲内で、ということがあるのは、説明会や茶話会で在校生の保護者の方からのお話で知っていました。そこが唯一の気がかりでしたので、願書を出すときのレポートでも、面談でも、正直に話して相談させていただいたのです。
 
 面談の時には、学校に入ってから様子を見て、必要があれば調整していく、レッスンを週3→週2にしてもらうこともあるかもしれない。という話で、それならば・・・とどこまでセーブできるか、気持ちとの折り合い、ギリギリのライン考えつつも、この学校に入ればバレエもピアノも縮小していくことになるだろうことがはっきりと分かったので、それがどんなに行きたい学校であったとしても、それはM嬢にとって果たして本当に幸せなことなのだろうか・・・という問いが頭から消えませんでした。とりあえず結果がわかるまで待とう、と思っていましたが、今となれば、もうこの時点で答えが出ていたのかもしれません。

 

そして翌朝のその電話でした。

 

バレエを1年間お休み。

もうこの学校に入ることは無理だ!と悟りました。
 

電話を切って、M嬢にそのまま話しました。

「先生はMを受け入れたいと言ってくれているけれど、
 そのためには、学校の身体表現の学びのために、バレエを1年間お休みできません か?と言ってる。」

 

それを聞いた瞬間、M嬢の目からみるみる涙があふれて、

「ワァァァーーー!!!!!」とその場に泣き崩れてしまいました。

 

そうだよね、無理だ。それは無理だ。
4歳からずっとずっと続けているバレエ。

アトピーで痒痒で、人見知りで泣き虫で、すぐに熱を出したりして弱弱だった娘が、魂を吹き込まれたかのように、生命力をみなぎらせた、それがバレエ。

 

しかし学校を諦めきれない夫は、そこでボソッと言ったのです。

「もう腹を括って(バレエ辞めて)学校いこうよ・・・」

 

「ギャァァァーーーーーッ!!!!!!!」

M嬢が叫びました。

「バレエ辞めるっていうのは、死ぬとおんなじなんだよっ!!!!!」

 

その瞬間、わたしの身体からザザーッとエネルギーが抜けていって、その場に崩れ落ちそうな感覚になりました。だ、ダメだ!M嬢がこんな風になるのはダメだ!

「そうだね。バレエを辞めることはできないよね!学校を辞めよう!」

わたしも涙が出ました。

ずっと憧れていて、娘も編入できることを本当に楽しみにしていたから。

どちらかを選ばなくてはいけないことが、本当に辛い。

確かに学校に行きたいと言ったのはM嬢です。でも、バレエを、もしいつか辞めることがあったとしても、今、こんな形で辞めることは絶対にできない。これじゃあどんなに素晴らしい学校に行っても意味がない!

 

ふと我に返ると、通し稽古に出る時間も迫っていたので、

まだ衝撃から立ち直れず泣きじゃくるM嬢をとにかく落ち着けようと、

「バレエとピアノは続けていいんだよ。
バレエとピアノを続けられる学校を、落ち着いて探そう!」

そう言うしかありませんでした。

(また白紙だな・・・)

いっぱい探して、最善だと思った学校を受けたので、実際はもうなんの当てもなく、

この瞬間は完全なるノープランでしたが・・・

 

 つづく