某社の缶に入っているクリームについてご質問をいただきましたので、わたしの考えを書いてみたいと思います。
この製品は、低価格ながら某高級クリームと配合成分が似ていて、また実際保湿力の高さでも人気のようです。
まず、某社のクリームの全成分です(HPより)。
水、ミネラルオイル、ワセリン、グリセリン、水添ポリイソブテン、シクロメチコン、マイクロクリスタリンワックス、ラノリンアルコール、パラフィン、スクワラン、ホホバ油、オレイン酸デシル、オクチルドデカノール、ジステアリン酸Al、ステアリン酸Mg、硫酸Mg、クエン酸、安息香酸Na、香料
赤字になっている成分が、石油由来成分です。
見て分かるとおり、石油成分満載ヾ(@^▽^@)ノ
合成保存料、合成香料は「不使用」じゃなくて「使用」!
この製品は主に、オイルと、石油系ワックス(パラフィン)、そしてテクスチャーを調整する成分、と合成防腐剤、合成香料でできているクリームであるということがわかります。
なぜ人気なんでしょう?
石油由来の成分はお肌によくないのでは?
ここが今日のポイントです。
わたしたちが思う「肌に悪い」というのは、実は二種類に分かれるということにお気づきでしょうか?
①合成成分(石油由来)である
②皮膚刺激性・アレルギー誘発性がある
①の石油由来成分は、悪者なイメージですが、
実は、皮膚刺激性は非常に少ないものが多いです。
炎症や赤み痒みなど急性のトラブルは起きにくいのです(一部色素や成分を除く)。
②は、炎症や痒みを誘発するものです。これは石油系、合成成分だからそうなる!
と思ってしまいがちですが、たとえば植物成分の中にも、このような成分はあります。特定の植物に対してアレルギーを発症してしまう場合もあります。
アトピーや乾燥肌で皮膚科にかかると、ワセリン(石油由来のパラフィン)を処方されることが多いのですが、これは、お肌の保護の目的と、ワセリンの低刺激性が、アトピー肌のに適しているからです(治療ではありません、あくまで保護です)。
逆に、植物成分、たとえば〇〇エキスや精油も、体質や濃度によっては、炎症やトラブルを引き起こすので、化粧品に配合する場合には注意が必要です。
ただ石油由来成分ついては、短期的には何の問題がないように見えても、経皮吸収や色素沈着といった長期的な影響もありますので、わたし自身は「安全」とは考えていません。短期的な炎症・痒みといったトラブルが起きないから安全、というわけではないのです。発がん性や神経毒性など、長期的な影響も考慮する必要があります。
そして最後に。
では石油由来成分の最大のメリットはなんでしょうか。
それは「安価」ということです。
同じような保湿力でテクスチャーで、同じような容量のものを天然成分で作るとなると、5倍くらいのお値段になると思います(原価で言えばもっとですね)。
それを作っているのがカラフルオーガニックなのですけれどね。
この某社のクリームも、石油製品のメリットを最大限に生かした製品と言えます。
アレルギーなど短期的なトラブル発生率は限りなく低く安心して使える。
しかし、「長期的な影響」という視点では、安全性は保証されない。
そういう製品だと思います。
わたし個人的に特に気になる成分は、安息香酸Naという殺菌防腐剤。
これは生活クラブのサイトでも食品添加物として、発がん性の記載アリの、
ちょっと有名な防腐剤です。
もうひとつ、シクロメチコン。これはシリコンですね。
また別記事にしたいと思いますが、日本では戦後、あらゆるものが、
石油製品に取って代わられました。安価で大量生産できるからです。
メリットばかりがフォーカスされますが、私たちは、そのメリットを享受しているとともに、デメリットも受けていることを、しっかりと認識するべきだと思うのです。
今後も、お客様からいただいたご質問で、
皆さんとシェアしたいものがあれば、記事にしたいと思います。
※この記事は特定の製品を中傷する意図のものではありません